その退職金もらいすぎです!

こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。
最近ニュースを見ていたら、『佐賀市上下水道局、7692万円納税漏れ 退職手当事務処理ミス 』というものがありました。
ぱっと読んだだけでは、何が起きたか分かりづらいので、少し解説いたします。
通常、退職金を受け取る際には、『退職所得の受給に関する申告書(退職所得申告書)』を、勤務先に提出して、受取額に応じた税額を計算の上、先払いで退職金から所得税を納めなければいけません。
もし申告書を提出しない場合、一律20.42%の所得税が引かれてしまいますが、申告書さえ提出すれば、多額の退職金控除を受けた上で、これより低い、10%程度の税率で計算された金額で済みます。
今回の佐賀市のケースでは、おそらく退職する職員にきちんとこういった説明がされずに、本人から退職所得申告書が提出されていなかったようです。
そうすると、本来、佐賀市上下水道局は、退職金の金額の20.42%の所得税を源泉徴収して、税務署に納めなければいけないのですが、申告書が提出されていなかったにも関わらず、申告書が提出されたものとして計算された、少ない金額しか納税していなかったようです。
退職した職員からしてみれば、申告書を提出していない以上、本来20.42%の所得税が引かれた少ない金額を受け取るべきところを、より多く退職金を受け取っていたことになります。
今回はもらいすぎだったので、職員には直接不利益はありませんでしたが、もし逆に、退職所得申告書をきちんと提出していたに関わらず、20.42%の所得税を引かれていたとしても、受け取った方は気づけなかったかもしれません。
ちなみに、もし退職所得申告書 を提出せずに、退職金から一律20.42%の所得税を引かれていたとしても、その年の確定申告をすれば、きちんと計算された税額との差額は戻ってきますので、ご心配なく。
このブログでは、以前から会社が所得税を給与から天引きする源泉徴収の弊害を訴えてきましたが、結局会社におんぶにだっこで、何も分からず納税しているとこういった問題が起きるのですね。
私は、会社員の源泉徴収は<選択制>にして、自分で確定申告して、後払いで税金を支払えるようにすべきと考えており、もしそうなっていたら、今回のような問題は起きていないはずです。
直接多額の税金を自分で支払えば、税金の知識もおのずと身に付きますし、何より納税者意識が高まって、国の無駄遣いや政治家の裏金問題にももっと関心が高まり、投票率も上がると思います。
現在、日本のサラリーマンの大多数は、定年後、ゼロから三つの事を勉強しなければいけません。
一つは、年金、医療、介護などの社会保険制度、二つ目は税金、そして三つ目は資産運用(投資)ですね。
在職中は、この全てを会社に任せきりで済んでいるのですが、退職して会社から出た途端、自己責任で全て対応していかなければいけません。
特に注意しなければいけないのは、今回問題となった退職金を使った資産運用です。
自分の銀行口座に今まで見たことがない大きな金額が一度に振り込まれると、その情報をかぎつけて、金融機関から手数料が高く、大して儲からない金融商品の勧誘電話が必ずかかってきますから。
現役時代なら、会社が決められた利率で退職金を運用してくれたり、事前に投資に向いた商品を選んで提示してくれますが、退職後はそういったことは誰もしてくれません。
更に、昨今被害が急増している投資詐欺やロマンス詐欺にも要注意ですね。
いよいよ忙しい現役時代から、金融リテラシーを高めていかなければいけない時代になってきています。
※(以下、参考記事)
24年2月21日 『全てのサラリーマンのために闘った男』
24年2月8日 『【源泉徴収】会社に知られたくない秘密』
24年1月16日 『確定申告のススメ』
