日本円で投資判断するリスク

こんにちわ。FPの金蔵(きんぞう)です。
前回のブログ*で、日本円でモノやサービスの価値を正確にはかることはできなくなってきているのではという記事を書きました。
本日は、日本円で海外への投資判断するリスクはないのかという視点でもう少し深掘りしてみたいと思います。
まずは、米国の代表的な株価指数であるS&P500の過去5年間の値動きをドルベースでチェックすると、以下のグラフとなります。

2020年のコロナショックでの急落やインフレ抑制のための急激な利上げで不調だった2022年を経て、現在は過去最高値を更新しています。
次に全く同じS&P500の値動きを日本円ベースで見てみると、以下のグラフとなります。

右肩上がりという点ではほぼ同じですが、2022年の株価の低迷期が円安で打ち消されてしまっているのと、2023年以降の株価の上昇幅が円安でかなり<増幅>されています。
つまり、S&P500への投資は、米国にいる投資家以上に、日本にいる投資家にとってより魅力的に見えている可能性がありますね。
今や大人気となった、eMAXIS Slim 米国株S&P500 (三菱UFJアセット )の純資産が4兆円の規模にも達し、日本の投資信託の中で断トツ1位になっているのも納得できます。
ちなみに、同じS&P500の値動きをユーロベースで見てみると、以下のグラフとなります。

日本円で見たグラフよりも、オリジナルのドルベースの値動きにより近いものになっています。
さらに、お隣韓国のウオンベースで、同じS&P500の動きをみると、以下のグラフとなります。

日本円ベースのグラフと比べて、明らかに2023年以降の上昇率がそれほどではないのが分かります。
さらに、過去5年間のS&P500の上昇率を、ドル、日本円、ユーロ、ウオンの4つの通貨で比較した場合、 以下の通りです。
・ドルベース 1.85倍
・日本円ベース 2.55倍
・ユーロベース 1.76倍
・ウオンベース 1.75倍
全く同じS&P500の値動きにも関わらず、明らかに日本円での評価だけが<過剰>になっています。
この原因は、世界の中で日本円の通貨としての価値がどんどん下落しているからに他なりません。
最近よくネット上で、日本円ベースで海外資産が爆上げしていることを自慢されている方を見かけますが、ドルベース見直したらどうなるのでしょうか?
上記の通り、もはや日本円では正確に海外の投資対象の価値をはかることはできません。
今後日本から海外投資を行っていく場合、世界で最弱となった日本円ベースで相場の推移を見ていると、真の姿が見えず、大きく投資判断を誤る可能性が大きくなります。
日本の投資信託を通じて、海外投資を行っている方は、円ベースでの評価額に加えて、オリジナルのドルベースでの価格推移にも十分注意するようおススメいたします。
*24年3月27日『日本円では価値がはかれない?』
